
生前贈与するなら今!?
皆さんは、今親が亡くなったら自分にどれくらいの相続税がかかるか、あるいは自分が亡くなったらお子さんにどれくらい相続税がかかるか、大まかにでも把握していらっしゃいますか?
既にご存知の方も多いと思いますが、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっていて、遺産がこの範囲内であれば相続税はかかりません。
国税庁によると2019年に相続税が課税された人の割合は8.3%なので、実際に相続税を払う人の割合は1割にも届きませんが、預貯金だけでなく土地や家屋、株式などを含めると、思っているよりも遺産は多くなるかもしれませんね。
そこでいざという時の相続税を少なくする方法の一つが、生きているうちに財産を贈与する生前贈与なのですが、その贈与を非課税で行うことができる特例が間もなく終了してしまいます。
そこで今回は、誰でも一度は考えてほしい生前贈与について書いてみたいと思います。
(なお生前贈与は遺産相続トラブルの対策にもなり得ます。詳しくは意外と身近な遺産相続トラブルをご参照ください)
贈与を行う際にも、金額などによってはもちろん贈与税がかかるのですが、その贈与税が非課税になる方法がいくつかあります。
その中で生前贈与の際によく使われるのが
①暦年贈与
②住宅取得等資金贈与の非課税制度(2021年末で終了)
③教育資金一括贈与の非課税措置(2023年度末で終了)
④結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置(2023年度末で終了)
なのですが、②は2021年末で、③・④は2023年度末で終了してしまうので、生前贈与が視野に入っている方は早めの検討が必要です。
それぞれどのような制度なのか見ていきましょう。
①暦年贈与
贈与を受ける人一人当たり年間110万円までは贈与税がかからないことを利用して、毎年110万円以下の範囲で生前贈与を行う方法で、生前贈与として最も利用されている方法です。
例えば子供2人と孫4人に3年間暦年贈与を行うことによって、110×3×6=1,980万円が非課税になります。
②住宅取得等資金贈与の非課税制度
20歳以上の人が親や祖父母から一定の住宅を取得するための資金贈与を受けた場合に、最大で1,500万円が非課税となる制度で、2021年末で終了してしまいます。
ただこの特例を受けるためには様々な要件を満たす必要があるので、詳しくはお近くの税務署にご相談ください。
③教育資金一括贈与の非課税措置
30歳未満の人が親や祖父母からから教育資金の贈与を受けた場合に、最大1,500万円が非課税となる制度で、2023年度末で終了してしまいます。
教育資金には入学金や授業料の他、塾代や通学定期券代、留学渡航費なども含まれます。
この特例を受けるためには金融機関での手続きが必要です。
④結婚・子育て資金一括贈与の非課税措置
20歳以上50歳未満の人が親や祖父母から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合に、最大1,000万円が非課税となる制度で、2023年度末で終了してしまいます。
対象となる費用は結婚に関する費用、家賃・引っ越し代、妊娠・出産に関する費用、子供の保育料などで、この特例を受けるためには金融機関を通じて税務署への申告が必要です。
このように生前贈与を行っていざという時の相続税を減らす方法は色々とありますが、暦年贈与以外の特例は近々終了してしまう予定です。
特例を利用した場合の節税効果は高いので、気になる方はぜひ早めに検討してみてくださいね!
FPアナウンサー
小原佳代子