意外と身近な遺産相続トラブル

遺産相続のトラブルと聞くと、ドロドロしたドラマの中の話を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかし実際には相続でもめるケースの75%以上は、遺産が5,000万円以下だそうです。金融資産、不動産を含めた遺産は2,000万~4,000万円の家庭が多いということを考えると、決して他人事ではないようですね。そこで今回は遺産相続で揉めないためのお金の終活について考えてみたいと思います。

現在、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっていて、遺産がこの範囲内であれば相続税はかかりません。国税庁によると2018年時点で相続税が課税された人の割合は8.5%なので、ほとんどの家庭では相続税がかかっていないことになります。そこで被相続人の方も「相続税がかかるほどの財産はないから特に何もしなくていい」と考えがちなのですが、相続税の有無と、トラブルが起きるかどうかは別問題です。遺産が非課税枠の範囲内でもトラブル対策はしっかりしておきましょう。

その対策の一つが遺言書です。遺言書の作成は誰でも行うことができますが、内容に不備があると無効になってしまいますし、かといって専門家に依頼する公正証書遺言だと10万円前後の費用がかかってしまうため(遺産額や誰に依頼するのかによって費用は異なります)、実際に遺言書を残す人の割合は10%ほどと低くなっています。

そこで利用してほしいのが今月10日から始まった自筆証書遺言書保管制度です。これは自分で作成した遺言書を法務局で保管してもらえる新たな制度で、遺言書の原本と画像データを50年間、1通3,900円で預かってもらえます。法務局では遺言の内容についての相談はできませんが、様式の不備はチェックしてもらえます。また遺言書の撤回や変更も可能なので、まずは早めに作成、保管しておくことをおすすめします。

そしてもう一つ重要なのが、親子など被相続人と相続人がしっかりとコミュニケーションをとっておくことです。遺産相続で揉める相手は兄弟姉妹が65%を占めるというデータがあり、調停や裁判にまではならなかったとしても、誰か不満の残る相続人がいればその後の付き合いに影響が出てきます。また兄弟姉妹同士は仲が良くても、それぞれの配偶者の意見が絡んだことにより関係が悪化するという話もよく耳にします。

そこで親世代は「まさか自分の子供達が揉めないだろう」などとは考えず、生きているうちに①資産はどこにどれくらいあるかこれまで誰にどのような理由でいくら援助したかなどを子供達全員に伝えておくことをおすすめします。その上で援助を受けていない子や、自宅がある場合は自宅を相続しない子に、あらかじめ金融資産を生前贈与しておくというのも一つの方法です。1人につき年間110万円までの贈与なら贈与税はかかりませんし、毎年コツコツと贈与することで親の財産が減り、相続税対策にもなります。

このような対策を親が自主的に行ってくれれば問題ありませんが、何も対策している様子が無くても、子供の方から遺産の話はしにくいですよね。伝え方によっては不謹慎だとか、財産目当てなのかと怒らせてしまう可能性もあります。

我が家の場合母は既に亡くなっているので、父が亡くなった時に遺産を相続するのは私と弟なのですが、前述のように兄弟姉妹間で揉めるという話をよく聞いていたので、実は数年前から相続について家族で話し合ってきました。そして父が亡くなった時の生命保険金の受取額が姉弟で偏らないように見直すと同時に、生前贈与を行うことで相続財産を減らし、いざという時に極力相続税がかからないようにするという方法に落ち着きました。実際の相続時になってみないと効果のほどは分かりませんが、トラブルになるリスクを少しは減らせたのではないかと思います。

そんな私の経験から考える、親にお金の終活を促すためのポイントとしては・・・

家族でくつろいでいる時などに、世間話程度に何度か相続の話をして意識しておいてもらう

「兄弟姉妹間で揉めることが多い」「何もしなければこのくらい相続税がかかる」といった客観的なデメリットを伝えて危機感を持ってもらう

具体的な方法を提示して行動を促す

といった方法がいいのではないかと思います。決して焦ったり、無理強いしたりはNGです。そのためにも日頃から何でも話しやすい関係性を築いておけるといいですね。

そして親世代は、かわいい子供達が遺産相続をきっかけに絶縁などということがないように、早い時期から自主的にお金の終活に取り組んでおきましょう。

FPアナウンサー 

小原佳代子


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